漢字の書き順に意味はある?
漢字嫌いの小学生の『あるある』の1つに、「書き順がぐちゃぐちゃ」があります。
「別に書ければええやん」と言いつつ、全く気にしない人もいます。
今回はそんな書き順について、寺子屋で見ていて気付いたこと、指導上の気をつけていることをまとめてみました。
あなたは書き順を守る派?どっちでも良い派?
ネット上の意見では、「書き順を守らなくても書けるならOKでは?」という大人の声が、かなり多いように感じています。
書いてしまえば同じだし、字を覚えちゃえば問題ないという意見。
長らく『女』を横棒から書いていた私にも、そう考える部分はあります。
だけど、『どっちでも良い派』がネット上で目に付くのは、『守る派』は当たり前だから沈黙しているのでは?とも思います。
そして一番気になるポイント。
書き順を守るかどうかに話が終始して、一番重要な漢字の習得レベルには触れられていません。
『書き順守る派』と『どっちでも良い派』の漢字習得レベルは、それぞれどの程度だったのでしょうか?
ここでは、そんなに多くないサンプルですが、寺子屋の子ども達を見ていて気付いた法則を書いてみたいと思います。
漢字が苦手な小学生の特徴
ここ何年か、2年生の子ども達を見ていましたが、壊滅的に漢字が書けない子が何人かいました。
その反面、とても得意な子もいます。
その違いが明らかに、書き順でした。
漢字が覚えられない子は、書き順の存在すら知らないのでは?レベルです(^^;
漢字をすっと覚えられる子は、当たり前のように書き順通りに書きます。
一番驚いたのが、全ての横線を右から左へ引く子。
漢数字の「一」のスタート位置が、逆なんです。
「さんずい」ですら、つくりを書いた後に、最後に気ままな向きに点を増やす具合です。
(ちなみにカタカナも正しく書けていません…)
例えば『南』という字を書こうとして、それっぽい形を毎回作るのですが、書くたびに行き当たりばったりに部品を書き足す作業をするので、同じ字を書いているのに、同じ作業になりません。
漢字練習で『南』を3回書いていても、書く順番がそれぞれバラバラだった場合、『南』という字が頭に残らなくて当然です。
つまり、書き順が統一されていないということは、漢字を部品化してインプットできていないということなのです。
形だけ、見様見真似で写して書いているので、そりゃあしばらく経つと忘れます。
書き順通りに書くことが習慣化されると、部首などのまとまりで見ることができ、部首やカタカナなど部品の組み合わせでインプットの負担を軽減することができます。
小学校低学年において、書き順を守ることは、漢字を覚える作業を高速化するのです。
昨年の2年生のとき、あまりにも自己流で全く漢字が覚えられなかった女の子に、半年くらい「書き順を正しく書くと漢字が得意になるよ」とささやき続けました。
この子はちょっと空間認知が苦手なので、漢字の形をとらえるのも難しい様子が見られました。
週に1度の授業でしたが、3年生になる頃には書き順を意識して書くようになり、驚くくらい漢字を覚えられるようになりました(^^
まだ、覚えにくそうにはしていますが、ルールが身についてきているので、存在しないパターンで漢字を作ることは無くなりました。
他の男の子も、「書けばええやん」程度で何となく埋めている程度から、漢字は常に満点!のポジションまで進化しました!
すぐに結果が出ているので、子ども達も書き順を守るメリットを感じてくれています。
漢字が苦手な子は部品化できていない
お子さんが漢字を間違えるとき、そのパターンはどれでしょう。
「用」と「曜」を間違えるなど、同音異義語を間違えるレベルですか?
「角」の真ん中の棒を下まで突き抜けちゃった!という形を間違えるレベルですか?
「姉」と「妹」が逆だったなど、近い字を書いてしまうレベルですか?
それとも、確かにちょっと形イメージは近いけれど、漢字としてあり得ない組み合わせで書いているレベルでしょうか?
書き順を気にしない子は、最後の「存在しない字」を書きがちです。
部品が見えていないので、絵を描くようにぼんやりとイメージで空間を埋めていきます。
どれもこれも漢字テストでは不正解ですが、上から3つは習得まであと少しです。
しかし、最後のパターンの人は、直し練習では一時的に書けるようになっても、すぐにまた忘れ去ります。
あまりにも覚えられないので、本人もどんどんやる気を失います。
まずは書き順を守ることで部品を身につけていき、漢字は部品の組み合わせで覚えられることに、気付いていく必要があります。
書き順を気にする年齢は?
もちろん、『鬱』や『薔薇』が筆順通りに書けなくったって、大丈夫です。
気にして欲しいのは、基本的な漢字を学ぶ小学校低学年。
私の感覚では、小学校2年生、3年生くらいが山場のように感じます。
その頃に、一般的な漢字の部首が出そろいます。
『しんにょう』を使う形を取りづらい字や、画数が増えて子ども達が「難しい」と感じる字が出てきます。
3年生では、1年間で習う漢字が急増します。
その時に、嫌になってしまうと、軌道修正がなかなか大変です。
また、自己流で苦手なまま5年生になると、本人の気持ちがもう戻ってきません。
大人が「書き順を守ろうね」「こうやってごらん」と声をかけて、魔法がかかるのは3年生が限度だと思っておいてください。
4年生は微妙なところで、うまくいけば魔法がかかります(^^
基本的に1年生の最初に、ひらがな・カタカナから、書き順を守ることを当たり前にとらえるよう、声をかけて応援してあげれば、漢字学習に移行してもスムーズだと思います。
我が家の幼稚園児次女の平仮名は、まだまだデタラメな書き順です。
しかし、まだ次女には書き順を守って書くほど、精神年齢が育っていないと思うので、口うるさくは教えていません。
だけど、ひらがな表に番号が振っていることに気が付いているので、「これは順番通りに書けば字がきれいになる秘密の数字だよ」と伝えているので、ときどき熱心に見ています(^^
『自分にメリットがある数字』であることを伝え、ルールに沿って書くことがストレスなくできる年齢(1年生相当)になれば、スムーズに移行できると思います。
まとめ
漢字が苦手な子は、書き順がめちゃくちゃです。
漢字のパーツを部品化できていないので、書くたびに違う形の存在しない字を作ってしまいがち。
書き順はパーツ化するための手段です。
完璧にできなくても大丈夫ですが、ある程度はルールに慣れておくと、習得がスムーズになります。
特に新入学を控えるお家では、書き順に注意してみてくださいね!
それではハッピーなおうち学習を☆彡
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